何年前のことだったでしょう、テレビで小さな、今にも崩れてしまいそうなSLが、これまた、小さな薄汚い客車を牽いて走っている軽便鉄道のことを放映していました。
芭石鉄路というその鉄道は、人や貨物だけでなく家畜をまでも運ぶ、中国の奥地の山村の人たちの足となっている鉄道でした。中国のどの辺りを走っている鉄道なのかは良く分かりませんでしたが、 とても今の時代に走っているとは思えない列車の姿が脳裏にこびり付いて離れずにいました。
強いカルチャーショックを受け、是非見に行きたいと思いながらも、他の鉄路との接続の無い奥地の離れ島路線には一人ではとても行けることは無いと、半ばあきらめたまま何年かが過ぎていきました。
ところがある日、こんな情報が飛び込んで来たのです。国際航空旅行サービスのツアー案内にあった櫻井寛先生の文です。
『中国の鉄道といえばここ数年、いつか必ずその日が来ると、ずっと覚悟してきたことがありました。 それは、北京オリンピック開催までに中国国内の完全無煙化、つまり蒸気機関車の全廃です。 近代化を急ぐ中国政府としては当然のことでしょう。 ところがです。オリンピック年も明けた本年1月、成都の友人、羅さんから、思わぬ吉報がもたらされました。 それは「芭石鉄路」の蒸気機関車が今も元気に走っているという事実でした』
そうです、芭石鉄路です。その名はまさに、あのテレビ放映でカルチャーショックを受けた、あの鉄道です。
この目で見てみたかった、乗ってみたかった、写真も写したかった、あの芭石鉄路です。 「見に行くことなど敵わない」とすっかりあきらめていた鉄道を見に、乗りに、撮影に行けるのです。
その日がやって来ました。4月23日、成田から、関空から、昆明への乗り継ぎのための北京空港にほぼ同じ時間に到着です。次の昆明行きの便まで4時間ほどあります。
「新しく出来た空港線の電車に乗りに行きませんか」 例によって櫻井先生の一言で飛び入り乗り鉄です。
電車は空港と、おそらく都心方面とを結んでいるのだと思いますが、 なにしろ北京は初めての私です、おまけにかなり強い雨が降っているのでどこをどう走っているのか全く分かりません。線路も車両も大変新しく、最高速度100Km/hで快調に走行します。
全線を往復し、所要時間は1時間足らず、良い経験をさせていただきました。
その後無事昆明に到着、まず一泊します。
2日目からは旅行開始です。しかし、芭石鉄路はまだお預けです。この日は普通列車に乗って石林観光に向かいます。
昆明 7時52分発普通列車の硬座車に乗車します。硬座車、硬座と言っても木板張りやプラスチック製の硬いシートというわけではなく、日本流に言うならば普通車。4人ボックス席の椅子は、座面も背もたれも、厚みは薄いですがクッション入りです。
グリーン車に相当するのが軟座車という車両ですが、この列車には連結されていません。
出発までにまだしばらく時間が有ります。列車の様子を見て見ます。
昆明駅のホームは日本と同様高いので足回りを見ることが出来ないのがちょっと残念です。
この列車を牽く SS3型(韶山3型)電気機関車です。
客車です。硬座車です。日本の昔の客車に似たイメージです。